避妊禁止法


「リョウコ、いいだろう?」

 そう言って、僕はリョウコを押し倒した。リョウコとは付き合い始めて三ヶ月になる。まだ、深い関係にはなっていない。今日こそは、と思い部屋に呼んだのだ。

「駄目よ。子供ができたらどうするの。私、まだ子供はいらないって言ったでしょう」

「大丈夫だよ。これを見て」

 僕はポケットから、ゴム製品を取り出した。

「もしかして、それ……。どうやって手に入れたの?」

 リョウコが驚くのも無理はない。日本では、少子化対策のために全ての避妊が禁止されているのだ。このようなゴム製品は持っているだけで犯罪になる。当然ながら、国内にはゴム製品を製造しているところはない。しかし、海外では普通に流通している製品だ。どんなに厳しく取り締まっても、裏で入手する方法はある。僕の持っているのも、海外で製造されたものだ。入手には苦労したし、金額も高くついた。でも、リョウコと深い関係になれるのなら、どんな苦労もいとわない。

「これをつけるから、大丈夫だよ」

 僕は、リョウコの耳元でささやいた。

「分かったわ。それなら……」

 リョウコも答えてくれる。こうして僕たちは、お互いを求め合った。

(いよいよだ)

 僕は、ゴム製品を取り出して装着した。初めて付けたがが、思ったより圧迫感がない。途中で外れるのではないかと思うくらい緩い。でも、まあこんな物なんだろう。

 そして、僕はゆっくりとリョウコの中に入っていった。

 全てが終わった。そのとき気づいた。

「あれ? ない」

 ゴム製品がなくなっている。もしかして途中で外れたのか。

「え? 外れた? どうするの。私、妊娠なんて嫌よ」

 その願いもむなしく、リョウコは妊娠してしまった。避妊すら禁止されてる国だ。堕ろすことなどできる筈もない。リョウコは仕方なく出産した。


「首相。出生率がどんどん上がっています」

「避妊禁止法の効果だな」

「でも、海外製の製品が出回ってるようですが」

「何、心配してるんだ。あれは罠だ。そもそも、外人のサイズに合わせて作られたものが日本人に合う訳がないだろ。日本人のサイズは、世界標準を大きく下回っているんだから……」

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