ラジオ体操第三
いつだったかニュース番組の特集でも取り上げられていたが、山口県光市には「おっぱい憲章」という市独自で制定した憲章がある。おっぱいは素晴らしい、おっぱいの恵みをみんなで守ろう、という100%濃縮還元のおっぱい賛歌だ。私もそう思う……いや、そういう話じゃなく。さらに光市には「おっぱい体操」という、おっぱいの発育を、じゃなくて健康と授乳を増進する体操がある。実際にこれらによって同市の出生率は年々上昇しており、効果は見事実証されている。
そこで、そういった地域の先進事例をモデルとして研究し、我々ラジオ体操委員会も少子化に悩む全国民のために、子育て支援を目的とした新たなる『第三』――第三世代育成に引っかけて――を開発した。昨今、急速に信頼を失いつつある我らが国営放送の名誉回復のため、公共の利益に貢献しなければならないと肝に誓ったのだ。
また、我々はひとつの重大な決断をした。数ヶ月に及ぶ議論を尽くした結果、今回の「ラジオ体操第三」は、男性用と女性用で別の体操にするという結論に達したのだ。フェミニストたちから批判を浴びるかもしれないが、子づくりにおいて男女の体の機能が生理的に異なる点をやはり無視するわけにはいかなかった。
そして、本日集まっていただいた方々にモニタリングを実施する。人選に関しては委員会内での調整が難航したが、さすが夢を売る業界の方々だけあって、今回の協力を快諾してくれた。ぜひとも少子化対策に貢献したいと深い情熱を持っているが分かり、非常に心強かった。我々も記念に一人ひとりと握手させていただいた。あの素晴らしい躍動的な肉体に宿るエナジーには溜め息が出るばかりだ。
さあ、前置きはこれくらいにして、早速はじめよう。スイッチオン!
『まずは全身をほぐしてリラックスする運動から――力を抜いてジャンプしましょう。はい、1、2、3、4、……』
『次は肩から腕にかけての運動――腕を左右に大きく振って、体をねじりましょう。はい、1、2、3、4、……』
『続いて、腰の運動――両手を腰にあて、背筋を伸ばし、前後に細かく振りましょう。はい、1、2、3、4、……』
『次は、指先の運動――五本の指を順番に折って開いて、ほら小指もきちんと使って。はい、1、2、3、4、……』
『最後は胸の運動――両脇から抱え込むように持ち上げ、手のひらでしっかりと。はい、1、2、3、4、……』
ああっ、麗しき女神様たち!
(おわり)
※第二段落以降はすべてフィクションです。実在の団体・体操・女神様たちとは一切関係ありません。