
明るい家族計画 リーブ
ワンワン!
「となり、座っていいですか」
「ああ、構わないよ、どうぞ」
彼女がこの時間、この公園のこのイスに座ることは事前に確認済み。
……だが邪魔者がいる。
彼女がいつも連れているこの巨大な、なんというか、犬だ。
うわさによると彼女に指一本触れただけでも噛み付いてくるそうだ。
なんて犬だ。
「あの、大丈夫ですか。さっきから小声でブツブツ……」
「あ、あぁ気にしないで」
!
やばい、クソ、犬っコロめ睨みやがったな。
なにか、彼女とふたりきりになれる状況を作らないと。
このままではいつ噛み付かれてもおかしくはない。
「ねぇ、君このあとヒマ? お茶でも一緒にどう?」
「え……っと、私、だめです。帰らないと」
もう帰るのか。
そうか、犬の散歩ってやつだな。
しかし俺は犬と睨み合うためにここに来たんじゃない。
明るい家族計画を遂行すべくしてここに来た。
ロングヘアで巨乳、好みとは反するけれど、関係ないさ、その清楚で真摯なさまに惚れたんだ。
なにかこう、ぐっとくる言葉を……。
「あのさ、はっきり言ってしまうけど」
「え?」
「オレ、君のその真っ直ぐな瞳が好きなんだ。なんていうか、惚れちまったんだ!」
「……!」
ああ、なんか柄にもなく緊張してふるえちまった。
まあいいか、想いは伝わったはずだ。
「よかった、桃次郎」
「……へ?」
いやまて違うオレは桃次郎じゃない。誰だ。
「この子ね、私の大切な目なの。光を失った私にとってこの子は私のすべてなの」
「……え、犬?」
「ずっと私に構いっきりで友達なんて一人もいないの……私もこの子に何もしてやれないし。でも良かった」
「……え、天然?」
「あなたの初めてのお友達……、この人があなたを大切にしてくれる」
次の瞬間、桃次郎は瞳いっぱい輝かせて彼の胸に飛び込んだ。